賑やかしにNECAのフジティブ・プレデターのフィギュアの画像を貼っておきます。
9/14から上映開始となった映画「ザ・プレデター」の感想です。普通の2D上映とIMAX3Dでそれぞれ1回ずつ観ました。
前半は(特に物語の内容については)ネタバレ無しの感想。
後半にはネタバレを含む感想も書いていますので注意してください。
良かったところなど
テンポ良く、冗長になっていない展開
全体的に物語に冗長さがなくてテンポ良く、かと言って展開が速すぎて置いてけぼりになる事もない。
特に私が感心したのは、「プレデターという存在自体は謎にしていない」事です。
過去作のプレデターの映画はまず、「これは一体何者の仕業なんだ?一体どうなっているんだ?」みたいな感じで物語が進みますよね。第1作目の「プレデター」はそれでもちろん問題ない。しかし2作目の「プレデター2」はまだしも、それ以降はもう映画を観る側のほとんどはおそらくプレデターがどんなヤツなのかを過去作から知っていますよね。
そうなるとこの展開は映画を観る側からすれば大して感情移入出来ない冗長な部分でしかないですし、ワンパターンで面白みが無いとも言えます。
その点今回の「ザ・プレデター」はそういった冗長な展開が廃されていています。最初でいきなりプレデターはその姿を見せていますし、プレデターについて研究している連中が序盤ですぐに登場。プレデターという存在自体は謎にせずに物語は進みます。
スピーディでカッコ良い、プレデターのアクション
ファイナルトレイラーで人間を叩きつけて即座にトドメを刺す動きを見てアクションに期待していました。その期待を裏切らない素晴らしいアクション。スピーディでカッコ良く、過去作には無かったような圧倒的な強さ・怖さを見せ付けてくれました。
シリーズ中、プレデターが人間を殺す場面の多さはおそらく最多だと思います。
以下、印象的だった場面。
・序盤の遭遇
これはトレイラーから予測出来るのでネタバレにはならないと思うので書きますが、主人公クイン(ボイド・ホルブルッグ)が森の中でプレデターと遭遇する場面。プレデターと言えば自身を透明にするクローク機能。この1作目からあるお馴染みの機能を使って、とても不気味で恐ろしい見せ方をしています。「その発想は無かった!!」と感心しました。
・研究所
これもネタバレにはならないと思うので書きますが、研究所に捕らえられていたプレデターが目を覚まし、次々と人間が血祭りにあげられていきます。銃を持った兵士が応戦するもあっという間に殺されていく。人間より遥かに強靭な身体能力・人間と同等以上の知能を持った恐ろしい強さを見せ付けてくれます。
・牙で噛み付く
これはちょっとネタバレになりますが、人間にあの鋭い牙で噛み付く場面があります。これも「その発想は無かったな」と。
噛み付くというのは何かプレデターらしくない感もあるのですが、最初の1回は狩りではなく非常時だからそういう手も使ったという事だと私は思っています。
2回目の方はまあ・・・アイツは私達の知っているプレデターとは違うという事かな。
・人間のアサルトライフルを奪って使う
これもちょっとネタバレですが、プレデターが人間のアサルトライフルを奪って使う場面があります。
「人間が使うこの武器は、引き金を引くと弾が出て人間くらいは簡単に殺せる」という事くらいはプレデターも分かっているという事なんでしょう。
プレデターがそんな事をするなんて・・と否定的な感想を持つ人もいるかもしれませんが、カプコンのアーケードゲーム「エイリアンvs.プレデター」でプレデターというキャラクターに触れた私としては嬉しかったです。
なかなかに魅力的な登場人物達
第1作目の「プレデター」の主役はあの大スターであるアーノルド・シュワルツェネッガーでしたから、以降の作品の主役は流石にそれには及ばない。今作の主人公であるボイド・ホルブルッグもやはりシュワちゃんには敵わない。
しかし「AVP」「AVP2」「プレデターズ」の主人公よりは存在感があるし、感情移入できる主人公でした。それらの主人公達とキャラも被っていないし。でも「プレデター2」のダニー・クローバーに比べるとちょっと弱いかな。
ボイド・ホルブルッグと共にプレデターに立ち向かう元兵士達「ルーニーズ」もそうですね。「プレデターズ」の登場人物よりも印象的で魅力的。「プレデター2」の登場人物と同じくらいに良いキャラだと感じましたが、初代「プレデター」のダッチの仲間達に比べるとちょっと弱い印象。
兵士として過去にどんな心の傷を負ったのかが語られて、人物の描写は過去シリーズの登場人物より掘り下げられているし、心に引っかかるものがある。ただなにぶん全員「心に傷を負った元兵士」なのでキャラの根っこの部分が被っているとでも言いましょうか、個々のキャラが弱いと感じました。集団としては良いのですよ。下品なギャグでヘラヘラしてて笑わせてくれる。でもやはり元兵士だけにここぞという所で頼りになる。でもどの人物がどんなヤツ?となるとあまりキャラが立っていない。
その点初代「プレデター」は全員迷彩服の軍服という服装だけど、全員キャラが立っていましたよね。
プレデターの宇宙船、大活躍
過去シリーズでは最初や最後にちょこっと出てくるだけだったプレデターの宇宙船が、今作ではかなり大活躍。
あれだけのテクノロジーを持ったプレデターですから、やっぱり宇宙船もいろいろと装備が付いているよね。
良くなかったと思う部分
ご都合主義な展開
元兵士だといってもそんなものは簡単には調達できないだろ、と思いました。まあ下手に物語のテンポを悪くされるよりは良いとは思いますけど。
あと犬ですよね。あの犬は一体何がどうしてしまったのか。打ち所が悪かった?
プレデターが何を言っているのかの字幕
これはやらないで欲しかったし、必要も無かったと思います。あの字幕が出る部分のセリフは無くても何の問題もないでしょう。
アサシンプレデターの存在は映画公開まで隠すべきだったと思う
今作は「フジティブ・プレデター」の他に「アサシン・プレデター(アルティメットプレデター)」が登場します。
これ、映画公開まで隠しておくべきだったと思います。
その方が物語の展開も意外性があってもっと引き込まれたと思うんですよね。
全体の感想
ちょっとご都合主義な展開はありますけど、登場人物もなかなか魅力的でしたし、物語は充分に面白かったですよ。
そしてプレデターのアクションは過去作よりも俊敏でカッコ良く、それだけでもう私としては良しです。
一口に「プレデターが好き」と言っても、初代しか認めないという人、初代と「プレデター2」だけという人、アメコミやケナーの変なフィギュアまで好きな人まで様々いますよね。
AVP以降の比較的最近の映画から入った人なら多分拒否反応は出ないと思います。しかし今作は「プレデター」「プレデター2」に続く物語、つまり「AVP」「AVP2」「プレデターズ」の事は考えないという立ち位置なんですが、「プレデター」「プレデター2」が好きだけど他はダメという人だと拒否反応が出るかも。
IMAX3D版の感想
これまでに何本か映画をIMAX3Dで見ているのですが、本当に3Dの空間が目の前に広がっているのではなく「2Dの映像を重ねているだけ」という風に感じてしまう場面が結構ありました。
この「ザ・プレデター」もそう感じてしまう場面は無かったわけではないのですがかなり少な目。特に森林の場面は木々の生い茂る空間が目の前に広がっていて素晴らしい迫力。可能ならば3Dでの観賞をオススメします。
※※※※ここから先、ネタバレ注意※※※※
ここから先はネタバレありの感想です。
これから映画を観ようと思っている方は注意してください。
「1号」ことフジティブ・プレデターの行動について考察
ネットで他の方の感想を見ていて
「1号は人間を守ろうとしていたって?人間殺しまくってたじゃん。おかしいだろ」
という意見を結構見かけました。
でも私はそうは思いません。
確かに1号の行動については何を考えていたのか劇中ではっきりとはしないのですが、私は以下のように考えています。
プレデターは自分の意思を人間に伝える術が無い
まずこれです。人間はプレデターの言語を研究して翻訳装置まで作っていましたけど、プレデターはどうか?
人間はプレデターは自分達に無い技術をもった未知の存在だし、脅威にもなるからプレデターについて研究するスターゲイザーなる機関を作って調べている。でもプレデターにとって人間は別に脅威でもなければ未知の存在ではないでしょう。
まあ「プレデター2」でエルダープレデターが1715年の銃を渡していくので、それほど昔から地球に来ていたのだから人間の言語についてある程度分かっている可能性はありますし、アサシンプレデターはローリーの部屋にあった文字を読んでいたようにも思えます。かといって人間の言語を発声して伝えることは出来ないのでは。
聞いた人間の声を真似する(録音して発声する?)事は出来るけど。
終盤でアサシンプレデターが自分の意思を音声で伝えられたのは、あくまで人間が作った翻訳機に音声合成の機能があったからに過ぎません。アサシンは人間が宇宙船に繋いだ機械を「自分達の原語を読むための装置」と分かった上で翻訳機に向かって自分のメッセージを送ったのでしょう。
いずれにしても1号が人間に意思を伝える術を持っている意思を伝えようとするはずです。
あるいは伝えても人間が素直にそれを信じてもらえるとは限らないからそうしなかったのかもしれません。自分が人間によって殺される・捕らえられるなどして装備を下手に弄くり回されてアサシンに宇宙船のありかを知られてしまったら、プレデター・キラーを人間の手に渡す事が出来ないですし、実際そうなりかけましたからね。
ですから目的の障害となる人間は殺して排除するしかないわけです。
マスクと操縦デバイスは隠そうとしていたのでは?
映画の冒頭、メキシコでのクインとの遭遇する場面で不可解な点が2つあります。
- 宇宙船の中でマスクやガントレットを付けていた1号が、なぜそれらを装備せずに脱出ポッドの中に残していたのか?
- 人間狩りが目的ではなくプレデターキラーを渡すのが目的なのになぜ兵士を殺して吊るしたのか?
まずマスクとガントレットを外していた理由ですけど、これは人間の手に渡らないようにどこかに隠そうとしていたのではないかと思います。マスクとガントレットは下手に人間の手に渡るとアサシンに宇宙船の所在を先に知られてしまう可能性が高い。1号自身が装備しておくという選択肢もあるでしょうけど、人間が宇宙船とプレデター・キラーを手に入れる前に自身が人間によって殺される・捕獲されるとも限らない。
人間にプレデター・キラーを確実に渡す為には、マスクや操縦デバイスよりも先に宇宙船を見つけてもらう必要がある。だからマスクとガントレットは隠しておく必要がある。こう考えると辻褄が合うのでは?
マスクとガントレットを一刻も早く隠すのに、そこにいた人間の兵士は障害です。意思を伝える選択肢が無い以上は殺して排除するしかない。つるし上げたのは威嚇かな。他の人間がビビって逃げてくれれば良し。それでも逃げずに来るなら排除するしかないけど。
あるいは吊るした死体に目を向けさせてその隙に透明化してどこかにマスクとガントレット隠す時間を稼ごうとしていたのかも。
・・・苦しいですかねこの解釈(笑)
ネットルズを人質に交渉する1号
運転席にいるネットルズを人質に、ジェスチャーで「それを返せ」と迫る。
そんな事せずに襲い掛かってクイン一行を殺せば?と感じる人もいるでしょうが、クインはガントレットという自分と同じハイテク装備を持っているし、映画冒頭で吊るされた人間を見ても逃げず、しかも透明な自分に気が付いたヤツ。それが何人かの仲間を連れている。
となれば、人質を取って交渉する方が操縦デバイスを取り戻すには確実性が高そうだと判断したのではないかと思います。
あるいは、腕の立つクインには来るべき人間とアサシンとの戦いのために生き残って欲しかったのかも。
続く建物(学校でしたっけ?)の中でもクインを殺して奪い返そうとはせず、ネックハンキングするだけでしたものね。
プレデター犬が急に萌キャラになってしまった理由ですが、小説で判明しました。
あの時ネブラスカが使ったのはボルトガン(ネイルガン?)で、ボルトの刺さり方が悪く
プレデター犬の前頭葉を破壊してしまいました。
ロボトミー状態になってしまったプレデター犬は凶暴性と攻撃性を失ってしまったらしく
目に映る者は自分と遊んでくれる存在だと感じてしまうようです。
ブログ管理人です。
小説だとそういう記述があるのですか、なるほど。
映画だとネブラスカが使っていた銃は普通の銃だったような気がしますけど、いずれにしても当たり所が悪くて殺せなかったけど脳が損傷しておとなしくなったという事でしょうか。