レビュー:アクリジョン(GSIクレオスの新しい水性アクリル塗料)


先月に発売されたGSIクレオスの新しい水性塗料「アクリジョン」を購入し、試しに筆塗りしてみたのでレビューします。

購入したのは「つや消しホワイト」「つや消しブラック」「専用うすめ液」。
このシンナーは塗料の希釈専用で、乾燥した塗料を落とすには「専用ツールクリーナー」が必要になります。

公式サイトの紹介によれば
主な特徴は
・低溶剤化・・・水性ホビーカラーと比較して有機溶剤を80%カット。
・低臭化  ・・・無臭ではありませんが、今までのような溶剤臭がしません。
・乾燥速度アップ ・・・水性塗料ですが、乾燥速度を格段に向上しております。
・塗膜硬度アップ ・・・乾燥後の塗膜強度が向上しております。
・上塗り塗装可能 ・・・完全乾燥後は、Mr.カラーや水性ホビーカラーの塗装が可能です。
・非危険物化 ・・・これまでの模型用塗料と異なり、非危険物扱いとなります。

との事。
同社の「水性ホビーカラー」やタミヤの「タミヤアクリルカラー」といった水性アクリル塗料はラッカー系やエナメル系に比べれば多少はマシなものの結構臭う上、塗膜の強度が低い、乾燥が遅いと欠点が多い印象でした。
公式の紹介からするとこのアクリジョンはそういった従来の水性アクリル塗料の欠点が解消されている印象。
以前紹介したモデルマスターのアクリル塗料のような塗料なのかな、と期待して試してみました。

外見

塗料としての性質云々とは関係ない部分ですが、ちょっと気になったところがあります。
まずそのビン。

左は同社のご存知「Mr.カラー」。右が今回の「アクリジョン」です。見ての通りビンの大きさ、形状は全く同じ。
同社の「水性ホビーカラー」も同じですね。昔はMr.カラーは蓋の形状が違いましたけど、何年か前に水性ホビーカラーと共通になりました。そして今回のアクリジョンも同じと。

これはよろしくないと私は思います。
理由は単純で、買うにも使うにも「うっかり間違える」原因になると思うので。こういうものはパっと見ではっきり区別が付く方が良いと思うんですよね。

あと見た目でもう1点。これは別に悪い部分でも何でもないのですが。

このシンナー、白く濁った色をしています。他の塗料のシンナーって必ず無色透明なのでちょっと驚きました。だからどうだって事ではないのですが、珍しいですよね。

ここからが本題。
以下、実際に使ってみた感想です。

臭い

塗料・専用うすめ液共にほぼ全く臭いがありません。鼻を近づければかすかに臭いがしますけどほとんど無臭に近い。
これは非常に良い点です。とにかく塗料と言うのは臭うものですからね。
だからといって換気をしなくて良いという事ではないと思いますが、それでも臭くならないというのは素晴らしいです。

乾燥時間

Mr.カラーよりは遅いですが、水生ホビーカラーよりは早いという印象です。
公式サイトの説明に
・水性塗料でありながらMr.カラーに近いスピードで指触乾燥(触れるくらいの乾燥)をします。
(*完全乾燥には時間がかかります。)

とありますが確かに乾燥には時間がかかるようで、5,6回筆で重ね塗りをしてみたところ塗料が溜まって塗膜が厚くなっている部分は塗ってから8時間くらい経過しているにも関わらず、触ると内部がかすかにまだ柔らかい感触がします。手で触る分には塗ってから数十分の乾燥で充分のようです。(もちろん塗った塗装の厚さにもよるとは思いますけど。)

塗料の伸び

塗る時の感触は水性ホビーカラーに近いですね。
従って伸びは良くはありません。エナメル塗料やモデルマスターのアクリル塗料のような伸びの良さはありませんでした。
うーん、残念。

隠ぺい力

特に高くも無ければ低くもない感じです。水性ホビーカラーよりは気持ち少し隠ぺい力があるように思えますね。

乾燥後

水性ホビーカラーのツヤ有りは、乾燥しても触るとベタつきがありますよね。このアクリジョンではどうか?

ランナーの切れ端にアクリジョンの赤を塗ってみました。
塗って数時間経過した状態。触ってみるとまだかすかに中が柔らかい感触ですが、表面にベトつく感じはありません。
塗ってから二日後に触ってみたところ、ベトつきは感じられませんでしたが、強く指で上から押すと微妙に柔らかさというかそこはかとないベトつきがあるような感じがします。もう少し時間をおいてみようかと思います。

※2015 11/15追記
しばらく置いておいたら微妙に柔らかい感触は無くなりました。放っておいて忘れてしまっていたのでどのくらいで乾いたかは分かりません。

耐久性など

塗料皿の上で乾燥した塗料を専用うすめ液を付けた綿棒でこすってみたところ、かすかに色が綿棒に付く程度でほとんど落ちません。
商品説明の通りこのシンナーはあくまで希釈にしか使えないわけですね。
こすっている時、半乾きの塗料は溶けるのではなくボロっと剥がれました。対して乾いている塗料は全く剥がれる気配は無し。確かに塗膜は頑丈なのかもしれません。明日以降、乾燥した塗膜にペーパー掛けを試してみようかと思っています。

スチレンボードに塗ってみた


ラッカー系やエナメル系は塗るとスチレンボードが溶けますが、水性ホビーカラーやタミヤアクリルは溶けません。
当然ながらこのアクリジョンも水性アクリル塗料だけあってスチレンボードは溶けませんでした。塗膜の頑丈さを考えるとスチレンボードの塗装には水性ホビーカラーやタミヤアクリルよりはアクリジョンを使いたいところですね。

シルバーの比較


左がアクリジョン、真ん中がMr.カラーの8番のシルバー、右がガイアカラーのスターブライトシルバーです。
見ての通り、アクリジョンのシルバーはMr.カラー8番に比べるとギラギラした質感のシルバー。スターブライトシルバーに似ているのですが、アクリジョンの方がややギラギラが抑え目という感じです。写真だと分かり難いかと思いますが・・。

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