当初の予定からだいぶ遅くなり、やっと発売となったNECAのクランリーダーをレビュー。
かつてのケナー版と同じくデラックスフィギュア枠での登場。
商品名:プレデター/ 7インチ アクションフィギュア シリーズ デラックス: クラシックケナー「クランリーダー・プレデター」
メーカー:NECA(ネカ)
キャラクター原作:映画「プレデター」
内容
本体、マスク、武器(ハルバート?)、触手x2、穴塞ぎパーツx2、プラズマキャノン、
という内容。
触手は首の左右の穴、もしくは両腕の穴に装着する事が可能で、触手を付けていない穴を塞ぐ為のシルバーのパーツが付いています(詳細は後述)
本体
AVPのプレデターをベースに一部新規パーツという構造になっています。なので可動については同じ素体であるシリーズ14のスカープレデターなどと基本的に同じ。
肌の仕上げは当初公開されていた画像とは仕様が異なります。当初は明るいオレンジイエローの部分が成型色のようでしたが、製品では背面などのブラウンに近いオレンジの部分と手首の赤っぽいオレンジが成型色。実はどちらも同じ成型色で、手首以外の部分はブラウンでウォッシングされているので違う色にパッと見は違う色に見えているだけのようです。
アーマーはブラックの成型色の上からメタリックグリーンでドライブラシで色を乗せているようです。このブラックはほぼ透けがなくて塗装と遜色ないのはAVPプレデター達と同じ。
AVPのプレデターを代表してシリーズ15のマスクドスカーと比較。
同じ素体なのですが、クランリーダーは靴底の厚みの分だけ少し背が高くなっています。
各部
頭部
口がクローズマウスになっている以外は、シリーズ14のスカーと同じパーツのようです。
牙の部分はスカーに比べるとややシャープさに欠けます。スカーと違ってクローズマウスは材質があまり硬くないせいだと思います。内側の口の部分は歯茎や歯の造形が素晴らしく、実に立体的な仕上がり。
造形的には口以外の部分はスカーと同じだと思うのですが、塗装の違いで目は鋭い眼光で睨みつけるような目になっており、スカーとはかなり違った表情に見えます。
威厳や狂気を感じさせる顔ですね。
この後頭部のフチのブラウンぽいオレンジ部分が成型色で、それ以外は塗装です。
ドレッドヘアはオリジナルのケナー版と同じくホワイトですが、毛先に向かってグリーンになるグラデーションになっています。
このため可動のクリアランスに余裕があり、AVPプレデター達よりも首の可動範囲が広いです。とはいえ、触手を付ける部分が邪魔なので左右にはあまり可動し難いです。
後述するようにAVPプレデターと胴体は同じもの。どうやらAVPの面々はこの首の上から蛇腹のパーツを付けているようです。なのでジャングルハンターやシティハンターに比べて首が窮屈で可動が狭かったのですね。首を胴体とは別パーツにすれば良いのに、と思うのですが。
胴体
胴体はアーマー以外はAVPプレデターと同じです。このアーマーの色味が見事な再現度。ケナーのクランリーダーって確かにこんな色だったなあ。
肩アーマーはAVPと違って胴体のアーマーと一体のため、アーマーを動かすことは出来ません。
左肩は右と違って肩アーマーが2重になっているデザインのため、若干肩周りの可動が狭いです。
腕を上に上げるのはこのくらいが限界。腕を真上に突き上げるようなポーズは無理ですね。
前面のベルト部分は塗装が汚いのが残念。ベルトも骨も塗装が分厚すぎてディテールが潰れてしまっています。おそらく筆で厚塗りしたのでしょう。
背面はオリジナルのケナー版同様、何だか動きそうな蛇腹状のバックパック。グリーン単色だったケナー版と違って部分的にシルバーやブラックで塗り分けられており、メカとしての見栄えがしますね。
このバックパック、PVCのムクのようで結構重たいです。このために腰の関節が重さでちょっとグラつきやすいのが残念。
バックパック右側には半円状のパーツがあり、ここは武器を取り付けるためのラック。
左脇のあたりのアーマーはAVPのそれよりも薄いため、AVPの面々よりも脇が締まります。AVPもこのくらい脇が締まって欲しかったですね。右側はアーマーが分厚いためそこまで脇が締まりません。
胴体はAVPの面々と違って前面や背面にプレート状のアーマーが無いため、本来の可動範囲をいかんなく発揮出来ます。
腕
腕はほぼAVPプレデターと同じ形状。違うのはガントレットの側面。他のプレデターならリストブレードやリストコンピューターがある部分が新規パーツで、触手を取り付け可能になっています。
背面や肘関節周りのブラウンに見える部分は、やはりオレンジ成型色の上からブラウンでウォッシングとなっています。
手首のオレンジも成型色です。こちらはブラウンでウォッシングされていないのでパッと見は違う色のように思えますが同じ成型色のようです。
下半身
下半身は腰のアーマーと足首が新規パーツで、それ以外はAVPプレデターと同じです。
腰アーマーはサイドアーマーのみAVPと共通パーツで、それ以外が新規パーツ。もちろん軟質樹脂製です。
股間周りはAVPと違ってボロ切れのようなパンツ状のパーツがありません。このため下から覗きこんだ場合(笑)の見栄えこそ悪いですが・・
このパンツが無いために可動範囲ほんの僅か広く、パンツで窮屈な感じがないので動かしやすさが上がっています。とは言え、僅かな差ですね。
すねアーマーはAVPと同じ形状ですが、膝だけがシルバーのツートンカラー。
AVPでは短剣の鞘が付いている右すねの側面は、四角いパーツで穴が塞がれています。
足首は新規造形で、つま先以外は鎧で覆われているようなデザイン。そして他のプレデターよりも分厚い靴底になっています。ケナー版は靴底が伸びるという謎ギミックがありましたが、NECA版は伸びません。あれはカッコ悪いし、あったら絶対に足首が可動しなくなるので無くて良いですよね。
足首は鎧で覆われている造形のために付け根付近がAVPプレデターよりやや厚みがある都合、足首の可動範囲は少し狭くなってしまっています。
付属品
プラズマキャノン
ショルダーキャノンはスカーと同じものですが、単色ではなく一部シルバー。そしてアームの可動軸はオレンジ!
でもこのオレンジ、結構良い色のアクセントだと思います。
左肩アーマー上の部分に取り付け。AVPと違ってスライド可動はしません。
マスク
どこがプレデターだよ!!と言いたくなる様なデザインのマスク。オリジナルのケナー版では本体のアーマーよりも黒っぽい色だった記憶があるのですが、NECA版ではアーマーと同じ色に。顎の部分のメカがシルバー、目の部分はツヤ有りのレッドに塗り分けられています。
裏面もディテールあり。裏側も目はレッドで塗り分けられています。
ヴァイパープレデターやゴーストプレデター等、これまでの着脱式マスクは装着すると顔がデカイ印象になってしまいましたが、このマスクはデザインのおかげであまり顔がデカイ印象にはなりません・・・と言いますか、オリジナルのケナー版より小顔。
マスクからAVPプレデターのようにパイプが伸びているのですが、これはショルダーキャノンの所の後部に挿します・・・が、パイプの長さがギリギリ過ぎる上、相変わらず差込はスカスカで抜けやすくて、かつ差し込みにくいのが困りもの。せめてパイプはもう少し長くあるべき。
実はNECAの公式にあるディオラマの画像では、よく見るとこのパイプはきちんと差さっておらず、こんな風にドレッドヘアの中に突っ込んであったりします(笑)細かい事を気にしなければこれでも良いでしょう。
武器
片側が薙刀状の刃、片方が斧のような刃になっているハルバート状の武器。
ケナー版では柄の部分は単なる棒でしたが、AVPのスピアと共通部分のあるカッコ良い形状にアレンジされています。
触手と穴塞ぎパーツ
まず穴塞ぎパーツから。
触手を付けない穴には塞ぐためのシルバーのパーツをつけます。NECAの公式ツイッターによると「引っ込んだ状態の触手の先端」との事。つまりこの触手は中に収納されているというわけですね。どこに入っているのか謎ですけど(笑)
こんな感じ。触手の取り付け箇所は両腕のガントレットと首の横の左右の穴の4箇所。しかしこの穴塞ぎパーツは2つしか付いていません。これは4つ付けて欲しかったですよね、触手はともかく。
もっとも、別にこの穴塞ぎパーツを付けずに穴が丸見えでもさして問題ないとは思いますが。
クランリーダー最大の特徴である2本の触手。オリジナルのケナー版では単なる蛇腹状のパイプでしたが、エイリアンの尻尾のようなギザギザした形状にアレンジ。
色はアーマーよりもやや明るいメタリックグリーンでのドライブラシとなっています。ケナー版でフニャフニャな柔らかい材質だったのを思い出してしまいました(笑)その辺の事を意識して色を微妙に変えているのでしょうか。
腕に付けるとさながらオメガレッドみたい。触手は意外と重さがあるのですが、肘関節はクリックがあるので保持可能。
ベンダブル仕様で自由自在に曲げてポーズを付けられるのが楽しい。獲物を捕縛するもよし、鞭のように攻撃に使うも良し・・・なんて想像が膨らみますね。
しかしながらこの触手、ちょっとツメが甘い部分があります。
まず取り付けの差し込みが緩い。触手も穴塞ぎパーツもどちらも抜けやすいです。逆さまにしたぐらいでは抜けませんが、でもグネグネと動かしていると抜けてしまいやすい。クリックがある膝関節をカチっと動かすと、その反動で抜けてしまうなんていう事も。
そして先ほども書きましたが結構重さがあり、それに対する配慮が一歩足りません。
ベンダブルの常だとは思いますが、端の部分にはワイヤーが入っていないんですよね。先端は矢印の部分までしか入っていません。これはまあエイリアンの尻尾なんかと同じですね。
差し込みピンがある後端部分も、矢印の部分までしかワイヤーは入っていません。つまり差し込みピンよりも手前ですでにワイヤーが無いのです。
このため、根元辺りで重さに負けてやや垂れ下がり気味になってしまうのが残念なところ。エイリアンの尻尾のように根元が太くないので、接続部の安定性が足りない。
総評
触手のツメの甘さが残念。もし触手が取り外し不可能だったらこういう風にはならずに根元までワイヤーが入ってくれたかもしれませんね。触手を着脱可能にして腕にも取り付け出来るギミックは良いのですが、ちょっとツメが甘い。
バックパックが重いのもちょっと気になりますが、あとはAVPプレデターと同じようにきちんと動かして遊べます。股関節はパンツ状のパーツが無い分動かしやすいのは良いポイント。
さてここからは個人的な思い入れの話しになります。
今から20年以上前、カプコンのアーケードゲーム「エイリアンvs.プレデター」でプレデターというキャラクターを好きになった私が、ちょうど当時日本でも発売されていたケナーのプレデターのフィギュアの中で最初に買ったのがクランリーダーでした。
色は何か派手だし、アーマーはともかくマスクは全然プレデターじゃないし、顔はダサイし、首は動かないし、大体何だよこの触手は(笑)というデザインで、あの時おもちゃ屋に他のプレデターのフィギュアがあったら多分買わなかったよな・・・というそんなヤツ。
しかも他のフィギュアより高い。クランリーダーの後にプレデターとエイリアンの2パックを買った時、「(他のフィギュアに比べたら)ちゃんとしたエイリアンとプレデターのセットで、こっちの方が安いのかよ!!」って思いましたもん(笑)
まさに「コレジャナイ」だったわけですが、映画に忠実なプレデターのフィギュアが出ている今となってはそれも良い思い出です。そんなアイツがオリジナル版の「味」はきちんと踏襲しつつ、こんなにもカッコ良くなって、あの時と違ってきちんと関節が可動するフィギュアとなってこうやって再び商品化されたのは本当に感慨深い。
また単にカッコ良くなっただけではなくて、AVPプレデターと共通点の多いデザインになっているのがたまらない。アーマーの形状が似ていたのは偶然だろうとは思いますが、こうなる事できちんと映画のプレデターと繋がったのが感慨深い。(これはシリーズ16のストーカーやスパイクドテールにも言えます。)
マスクと触手を付けていなければ、色以外はAVPプレデターの一種としか見えない。でも間違いなくあのクランリーダーでもある。
こういうのって良いですよね。
日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)