レビュー:NECA(ネカ) アルティメット クレイトス(ゴッド・オブ・ウォーIII) 7インチアクションフィギュア


3月中頃に発売になったNECAのクレイトスをレビュー。箱パッケージ入りの「アルティメット」シリーズでの商品化。

商品名:ゴッド・オブ・ウォーIII/ アルティメット クレイトス 7インチ アクションフィギュア
メーカー:NECA(ネカ)
キャラクター原作:ゲーム「ゴッド・オブ・ウォーIII」

内容


本体、ブレイズ・オブ・エグザイル(刀)x2、ネメアのカエストスx2、交換用頭部、ペグ(穴を隠す為のピン)x2、という内容。
最近になって始まったNECAの「アルティメット」シリーズは、パッケージがブリスターではなくウインドウボックスで、付属品が多いのが特徴のシリーズです。
一口に「アルティメット」シリーズと言っても、ターミネーターのフィギュアは以前に発売されたもののバリエーションをコンパチにして一つにまとめたものだったりする(らしい)のですが、このクレイトスは完全な新規造形。以前にNECAからクレイトスは「ゴッド・オブ・ウォーII」のものがフィギュア化されているのですが、その流用ではありません。
NECAに限らず海外メーカーのアクションフィギュアは国内メーカーの「figma」や「リボルテック」などと違い、表情違いの顔などの交換できるパーツを付けるという発想があまりありません。ポーズを自由に付けられる可動フィギュアではやはり色々な付属品・・特に顔の表情は複数欲しいもの。2種類だけとはいえ、顔の表情が変えられるのは非常に嬉しいポイント。

「ゴッド・オブ・ウォーIII」のクレイトスと言えば、ゲーム発売から程なくしてスクウェア・エニックスの「プレイアーツ改」で商品化されています。これを既に所持しており、どうせクレイトスしか出ないのはどちらも同じだろう(笑)と踏んでいるので当初はこのアルティメットの購入に悩んだのですが、表情が2種付属しているのと、ネメアのカエストスがあるのが購入決定の決め手でした。

本体

メーカー公式の画像だと肌の色は濃いグレーの上から明るいグレーを吹いてあるようで、グラデーションがフワっとしているのですが、実際の製品は以前にNECAから出た「ゴッド・オブ・ウォーII」版のフィギュア(以下、「旧フィギュア」と呼称します)と同じく、成型色の暗いグレーの上から明るいグレーをドライブラシして色を乗せているようです。このため公式の画像よりもやや明暗がくっきりした仕上がり。好みの問題はあるかと思いますが、実際の製品の仕上がりも悪くありません。
影となる色が成型色、つまり透明感のある質感だと違和感を懸念するかもしれませんが、透けはほぼ無いのでその点は大丈夫。

先ほど引き合いに出したプレイアーツ改も「ゴッド・オブ・ウォーIII」版でしたが、NECAの方はゲーム中盤で手に入る「ヘルメスの靴」を装備した状態となっています。また、背中にはこのフィギュア独自(?)の刀を納めるホルスターというか鞘が付いています。

各部

各部位について、可動も含めて解説。

頭部


こちらの食いしばった顔でパッケージされており、真顔の方が交換用パーツ。
旧フィギュアも良く出来た造形でしたが、今回のアルティメットの方が頭部が少し大きい事もあり、さらに精密な造形となっています。冒頭でも触れましたが、この表情がこのフィギュア購入の決め手の一つでした。
常に怒りに満ちている男、それがクレイトス。


筋肉や唇の造形もさることながら、食いしばった口の中の造形が実に立体的で素晴らしい。こういう写実的な造形は、国内メーカーより海外メーカーの方がうまい印象がありますね。


もう一つの表情である真顔。
戦闘中重要人物との会話シーンでは怒りに満ちていますが、それ以外だと結構こんな表情の場面も多い。


この表情で仁王立ちしているだけでも絵になりますね。


頭部はボールジョイント接続で、上を向く事が出来ます。

胴体


腹部には前後可動が設けられています。腹筋のところで分割されているという、結構よくある構造です。


前方向には大きく傾けられますが、後ろ方向にはあまり動かず、胸を張れるという程度。


このように腹に力の入ったポーズも可能。


後ろ方向にはあまり動きませんが、頭部の可動と合わせると結構上を向く事が出来ます。クレイトスは天に向かって(オリュンポスの神々に向かって)話す場面、あるいはCSアタックで自分よりも体躯の遙かに大きい相手に向かっていく場面が多いので、上を向けるというのは嬉しいポイント。


前述のようにこのフィギュアの背中には、ゲームのグラフィックには存在しない、刀を納める鞘が付いています。


鎖に挟んで刀を納めます。ゲームと違うという事で賛否両論あるかもしれませんが、私はこの構造に賛成。ゲームだと何も無い背中にそのまま刀が付いているためそれを再現しようと思った場合、実際プレイアーツ改がそうだったのですが背中に穴が空く事になりますし、刀にも穴が空くかピンが付くかする事になります。でもこれなら、刀を背中に納めるにしても手に持たせるにしても見た目が綺麗。

この鞘は一応取り外し可能。外すと当然ながら背中に穴が空いているため、これを塞ぐためのペグが付いています。

鞘を外してペグを挿したところです。
ハッキリ言ってこのペグは意味無し。穴が空いたままよりもマシだといえばマシですが、所詮は穴にピンが挿してあるだけにしか過ぎません。それよりも鞘が付いている方が自然だし、見た目が綺麗です。


クレイトスの特徴である、呪いで外れない鎖。この鎖の造形が非常に良くできています。腕と一体成型のPVCなんですが、彫りが深くて立体的で、本当に鎖が巻いてあるのかと錯覚するほど。


左腕にはゴールデン・フリース(金羊の毛皮)を装備。「ゴッド・オブ・ウォーIII」では最初から付けている装備です。


このゴールデン・フリースの肩当ては旧フィギュアと違い軟質樹脂製で、上腕の腕輪の部分だけで接続されています。このため可動の妨げになる事はありません。腕は画像の高さまで広げる事が可能。


肘は旧フィギュアと異なり2重関節になっており、可動範囲が広がっています。が、下腕の腕輪やそれに巻かれている鎖がぶつかってしまうために、90度強くらいしか曲がりません。欲を言えばもう少し曲がって欲しかったところ。


手首は根元にヒンジがあり可動します。

下半身


腰に巻いている布切れの造形がとても良いです。実によく革の質感が出ています。もちろん軟質樹脂製です。


旧フィギュアからの最大の改善点はこれでしょう。股関節は最近のNECAの定番である球体関節になり、大きく可動します。この股間周りのパンツ?の包帯のような質感も非常によく造形されていますね。

この球体関節は左右で一対になっているようで左右で微妙に形が違います。向かって左側だけギザギザが付いていますが、どうもこれがクリックになっているようで、腰の布きれの弾力に負ける事なくポーズを保持出来ます。


腰周りが布切れで隠れるデザインなので、股関節を可動重視にするにはうってつけのデザイン。にも関わらず旧フィギュアは股関節がダメで残念だったのももはや過去の話ですね。


前述のようにこのフィギュアの脚は「ヘルメスの靴」を装備しています。側面に付いている翼状の部分は軟質樹脂製なので破損の心配はありません。


このヘルメスの靴も革の質感がよく出ています。


膝も2重関節となっているので大きく曲がります。また、つま先も可動となっています。


足首の根元はグレーの球体になっています。リボルテックみたいな球体関節になっているのか、と思いきや・・・・


実はただのボールジョイントで、この球体はボールジョイントの「受け」だったりします。


見た目はリボルテックみたいに球体関節で大きく動いて接地できそうに思えるのですが、ただのボールジョイントなのであまり接地がよくありません。とはいえ、引張り気味に動かせばこのくらいは接地出来ます。
でもここは本当に、球体関節で大きく動くようにして欲しかったところ。せっかく股関節や膝が大きく動かせても、接地が悪いと生かせなくなってしまいますからね。

武器

刀(ブレイズ・オブ・エグザイル)


「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズを象徴する基本武器である「ブレイズ・オブ・○○○○」。
IIIで使用するのは「ブレイズ・オブ・エグザイル」。これも鎖の造形が良くできてます。

旧フィギュアと違い、刀身はクリアー成型。刀身は旧フィギュアよりも薄くなっています。(後述の旧フィギュアとの比較参照。)

ネメアのカエストス


ヘラクレスを倒して手に入れる(と言うか戦っている最中に奪う)金属製のグローブといった感じの武器。
ゲーム内に登場する武器では最もデカイので、フィギュアの付属品にするのは最も難しそうな武器。それだけに、このNECAのフィギュアに付属すると知った時は驚きました。

パッと見単色ですが、部分的に皮でできているような箇所があり、そこはつや消しブラックで塗り分けられています。


右下腕のゴールデン・フリースだけは外す必要がありますが、そのまま腕に通すだけで取り付けられます。


このカエストスはPVCのムクなので結構重いため、保持が厳しいのが残念なところ。特に上腕のロール可動が重さに負けてクルクル動いてしまいがちです。カエストスがもっと軽ければ良かったのでしょうけど、もしプラ製ならカエストスに合わせ目が出てしまっただろうと思うので、保持は厳しい欠点はありますがこれで良かったのではないかと。

他のクレイトスの可動フィギュアと比較

プレイアーツ改と比較


大きさが全然違うので比べる意味があまり無いとは思いますが、プレイアーツ改の方が当然大きいです。可動範囲は総合的に見るとプレイアーツ改の方がやや上という印象。足首の接地や腹部のヒネリの自由度はアルティメットより優れています。ただプレイアーツ改は肩と胴体の繋がりがちょっと不自然ですし、全体のプロポーションはNECAのアルティメットの方がゲーム内のそれに近いのでこっちの方がベターだと私は思います。プレイアーツ改も結構好きなんですが。

以前のNECAのクレイトスと比較


パッと見同じような服装である「ゴールデン・フリース」の旧フィギュアと比較。全高こそ同じですがプロポーションはだいぶ違います。旧フィギュアの方が細長いプロポーション。今回のアルティメットの方がゲーム内のグラフィックに近いプロポーションだと思います。肌はどちらも成型色の暗いグレーの上から明るい色をドライブラシとなっていますが、成型色の暗いグレーは旧フィギュアの方がやや暖色で、今回の方がやや寒色。


武器の刀身は今回の方が薄くなっています。もっともゲーム内の印象からすると単純に斬る「刀」というイメージではないので、刀身が厚いのも別にアリかな、とは思いますが。


続いて旧フィギュアの「アレス・アーマー」と比較。こちらも先の「ゴールデン・フリース」と同じプロポーションなので、アルティメットと比べると細長い。

フィギュア本体のプロポーションこそ違いますが、サイズはほぼ同じなので武器も流用可能。という事で・・・

「アレス・アーマー」に付属している「オリュンポスの剣」を今回のアルティメットに持たせてみました。この武器は「ゴッド・オブ・ウォーIII」でも登場するので、流用が利くのは嬉しいところ。

※オマケ 旧フィギュアについて

ついでなので旧フィギュアの可動範囲についても軽く触れておきます。この頃のNECAのフィギュアは可動がダメだったので可動範囲はアルティメットやプレイアーツ改には劣ります。特に致命的にダメなのが股関節で、見た目も可動もダメ。NECAの昔のプレデターと同じ関節構造です。太ももの真ん中辺りでバッサリと分割が入ってしまっているのがお分かりになるでしょうか?
ただ、この頃のNECAにしては珍しく上腕の回転可動があり、肘と膝も90度弱くらいは曲がるので、股関節さえマシならそこそこ悪くないアクションフィギュアだったのに・・と今でも思います。

総評


「アルティメット」というのはあくまでNECAのシリーズ名ではあるのですが、クレイトスの可動フィギュアとしても究極と言っていいかと。そもそもクレイトスの可動フィギュアなんて数えるほどしかないし、他のフィギュアはもはや入手困難なので選択肢なんて無いのですけど(笑)。
そんな入手困難な他のフィギュアを探す必要などない。そう思えるくらいの出来栄えです。プロポーションや造形も良し、可動も国内メーカーのフィギュアに肩を並べるほど。プレデターのシリーズ14でも思いましたが、きちんと可動するようになった今、NECAのフィギュアは本当に良いものになったなと感じます。国内メーカーのフィギュアよりサイズが大きいために、価格の点でも割安に感じられます。

「交換用の付属品を付ける」という発想がないのが海外メーカーの常なんですが、このアルティメットクレイトスは顔も2種類ありますし、武器もカエストスまで付いてます。欲を言えば手首も何種類か欲しかったのと、カエストスまで付けたなら「ハデスの鉤爪」と「ネメシスの鞭」も付けて欲しかったですね。

以上、NECAのアルティメット クレイトスのレビューでした。

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