figmaなどの可動フィギュア用として以前から気になっていた、1/12スケールの教室ディオラマキットをレビューします。発売されたのは2013年の8月ごろだったようです。
商品名:想い出横町シリーズ 1/12 新教室
メーカー:コバアニ模型工房(cobaanii )
最初にちょっとおことわり
本来とは扉の色が違います
扉の組み立てでちょっとやらかしてしまいました・・。
この扉のパーツは同じものが2枚入っていまして、それを貼り合わせて一枚にして使います。その貼り合わせの際、あろうことか片方を裏返しで接着してしまいました。つまりそれぞれで取っ手の楕円の穴が互い違いで接着してしまったのです。
気がついた時はもう後の祭り。なにぶん材質が紙なので、剥がすとボンドを塗った部分の表面がベリベリっと剥がれる。正直、途方に暮れました。
もう扉だけはパーツの寸法を元に自作するしかないかな、と考えたのですが翌日ふと思いつきダメもとでペーパー掛け。すると表面を綺麗にする事が出来ました。ただ本来の表面は中身とは少し違う色の紙が貼られているらしく、それを削ってしまったので少し色が違ってしまっています。
こちらは裏側から見たところ。こちら側はペーパーを掛けていませんので本来の色のままです。比べていただくと分かるかと思いますが、本来の色の方が少し濃い色です。
という事で、扉は本来両面ともこの色なのでその点はご承知おきください。
なんてマヌケをやらかしたのかと自分でも呆れますが、まあペーパーで綺麗にできてとりあえず良かった・・・。
床が一部色あせてしまっていました
手前の部分だけ四角く色が白くなってしまっていますよね。私が購入したこのキット、どうも結構長い間店頭に残っていたものらしく、色あせてしまっているようです。他のパーツの下に隠れていた部分は色あせなかったという事みたいですね。本来は床全体がきちんとグレーになっているはずです。
それでは以下、レビュー。
いわゆる「ペーパークラフト」とはちょっと違います
この製品は紙製キット。材質が紙だと聞いて敬遠されてしまう方も結構いるのではないかと思います。紙製の模型なんでペーパークラフトには違いないかもしれませんが、「ペーパークラフト」と聞いて連想するものとはちょっと違います。
ペラペラの紙ではない
少なくとも私は、「ペーパ-クラフト」と聞くと材質はせいぜいボール紙くらいの固さ・薄さだと連想します。しかしこの教室、壁や床、扉の材質は色紙みたいな紙。かなり分厚くて結構な固さです。なのでよほど重いものを乗せなければ、凹んだりはしないと思います。
一方で壁の電気のスイッチや扉の窓枠・取っ手のシルバーの部分は普通の薄い紙で、ここは逆に紙だから出来る薄さで精密な仕上がり。
右に写っているのはfigmaの手首です。シルバーの部分、上下に小さい丸穴が空いているのが分かるでしょうか。このキットは紙をレーザーでカットしているらしく、非常に繊細。ちょっとスイッチは大きすぎる気がしますけどね。
きちんと”立体”です
これが何よりも重要なところ。
可動フィギュア用の1/12スケールの教室というのは需要のあるものだと思います。特にfigmaは学校が主な舞台のアニメのキャラが数多く商品化されていますからね。
マックスファクトリー公式でもペーパークラフトが配信されていますし、「figma PLUS」でも教室は出ています。
でもこれらはきちんとした立体ではありません。黒板や窓は平らな紙に絵が印刷されているだけであり、模型としてはダメ。
しかしこのコバアニの1/12教室は厚みのある紙のパーツを組み立てるきちんとした立体。
黒板も、木の部分も、扉も、壁の電気のスイッチもきちんと立体であり、模型と呼べるものになっています。
ピンクの部分は無しでも組めます
この商品は別に何かのキャラクターもの商品ではなく、プレーンなよくある学校の教室という感じの見た目なんですが、何だか妙なのが黒板の下のピンク色の部分。
形状はともかく、色がピンクというのが違和感。こんな派手な色使いの教室なんてあるんですかね。
このピンク色の部分が無ければ良いのに、と思う人もいるのでは。実はこのピンクの部分、無しでも組むことが可能です。
このパーツは壁の上から取り付けるようになっているので、付けなくても問題ありません。
ただし、1箇所注意点が。
本来はこのように壁と床のパーツの間にピンクのパーツが挟まっている構造。ピンクのパーツを使わなかった場合は、床を本来の位置より壁の側に少しずれた位置へ取り付ける事になります。
すると床がずれたために、扉がきちんと閉まりません。(出入り口にの真正面まで扉が行かない)
このためピンクのパーツをつけない場合は赤丸で囲んだ部分の切り欠きを少し広げてやる必要があります。画像は既に広げた状態です。
大きさ
この教室の大きさは縦203mm×横237mm×奥195mm。
figmaの高坂穂乃果(ラブライブ!)とハセガワのプラモデル「教室の机と椅子」を並べてみました。ラブライブのfigmaは1/12スケールよりやや小さいのですが、まあさして違和感は無いでしょう。
床の広さが分かりやすいよう、「教室の机と椅子」プラモに付属の木の床シートを上に乗せてみました。「教室の机と椅子」の床シートより少し広いです。床をこの木の床シートにしてしまおうと思った場合、「教室の机と椅子」のプラモを2つ買わないとダメですね。
各部
その他各部について
壁
ツルツルの平らではなく、しわしわとした質感。コンクリートむき出しではなく壁紙が貼られているという趣きでしょうか。どうせならウォッシングでもしてこの壁の表面の凹凸をもう少し浮き立たせてやりたいのですが、なにぶん材質が紙なのでそれは無理そう。
扉
側面側だけは茶色で木のような質感です。材質が紙なので厚みがある場合は側面と表面を同じ質感に出来ないのだろうと思いますが、こういう扉って表面は何か貼ってあっても側面は木がむき出しな場合が少なくないので、これで問題ないでしょう。
反面、扉がスライドする溝はレールは作られておらず、模型として見ると深すぎます。ここがきちんとレールになっていたらより良かったとは思いますが、開閉ギミックの強度を考えると流石に厳しいでしょうか。
取っ手の部分は楕円に穴があいており、シルバーの楕円パーツを表面に取り付ける構造です。ここもシルバーの紙の薄さが生かされていて非常に精密な仕上がり。
実はこの取っ手の楕円の穴は本来突き抜けたままではなく、この穴と全く同じ大きさのシルバーの「底」のパーツが付いています。これを接着するよう説明書には書かれているのですが、うまく接着する方法が思いつかなかったので付けていません。
ガラスだけは紙ではなく薄いプラ版(窓の寸法でカット済み)が付属しており、これにシルバーの窓枠パーツを接着してから扉に取り付けます。若干精度が甘く、プラ版がほんのわずかに大きいので、そのまま取り付けると少しプラ版がたわんでしまいます。
木の部分と黒板
木の部分の質感は悪くはないですがちょっとイマイチ。側面側は悪くない感じですが、表面側は「紙」という感じがちょっとありますね。ホームセンターに行くと色々な寸法の木の棒が売っていますので、キットのパーツは使わずに木の棒に置き換えた方がリアルにできそうな気がします。
黒板部分もいかにも「紙」で、ざらざらゴワゴワしていてスケール感を損ないます。扉の表面と同じ材質に出来ないものなんでしょうか?薄くしなければならない都合かも。
黒板消しやチョークを置く部分は平らではなく横から見ると「く」の字型になっています。
このため、表面にパーツを組み合わせるためのダボの形が出てしまいます。そもそもこのチョークを置くところって、こんな風に「く」の字になっているものでしょうか?別にここは「く」の字になっていない方が良かったのではないかと思います。
床
うーん、これって一体何なんでしょう。コンクリート?それとも絨毯みたいな起毛?
格子状の線はただの印刷ではなく非常に細いスジ彫り。ここは流石のレーザー加工というところなんですが、スジ彫りの中は印刷が出来ない為か色が茶色。
壁と同じ質感にしてくれた方が良かったのではないかと思います。
床パーツを型紙にして、自分でプラ版なりスチレンボードなりを切り出して作り直した方が良さそうです。
figmaを乗せて遊ぶ
ラブライブのfigma(高坂穂乃果、園田海未、南ことり、星空凛、絢瀬絵里)を並べて。
やっぱりディオラマがあるとフィギュアが生き生きとしてきますよね。
こちらはラブライブのS.H.フィギュアーツ(矢澤にこ、西木野真姫)とfigmaの2年生を組み合わせて。
figmaなどの1/12前後のスケールの可動フィギュアを4、5体乗せて飾るには丁度良い感じです。
その他取り扱いの注意点・欠点
気になった部分を書きます。
説明書やパッケージがちょっと不親切
パッケージに「組み立て簡単」と記載があるのですが・・。どこまでが簡単でどこからが簡単ではないか、なんて明確な基準はもちろんありませんし、すごく難しいという程には思いませんが、誰でも「簡単」と聞いて納得できるほど簡単ではないように私は思います(微妙な表現ですが)。
ガンプラとか、あるいはハセガワの「学校の机と椅子」をパチパチ組むよりは難しいと思いますね。
というのも紙をボンドなどで接着して組むので、間違えると修正が厳しいです。また、その説明書の記述が不親切で、説明書どおりに組まない方が良さそうな部分があります。(これについては長くなるのでこの記事の最後に記載してます。)
あと何より不親切なのが、組み立てに必要なものがパッケージに記載されていない事。プラモデルだって「接着剤が必要です」って書いてありますよね。
このキットの組み立てには最低でもデザインナイフとボンドが必要。
説明書には
アロンアルファ、瞬間接着剤、木工接着剤(タミヤクラフトボンド推奨)、ピンセット、デザインナイフ(カッターナイフ)
が必要と記載あり。アロンアルファは瞬間接着剤じゃないのか(笑)
紙製ゆえの欠点
いわゆるペーパークラフトのような安っぽいものではありませんが、それでもやはり紙ゆえの弱点はありますね。
壁が反ってしまっている
壁のパーツがきちんと平らになっておらず、微妙に反ってしまっています。
こちらは上から。
壁の断面が真っ直ぐではなく曲がっているのが分かるでしょうか。色紙のような厚みでそれなりに頑丈だとは思うのですが、やっぱりこれは紙ゆえの弱点でしょう。
取り扱い注意
やっぱり紙なので取り扱いに気をつけないといけない部分はあります。
説明書にも記載がありますが、湿気や水に注意。近くで飲み物を飲むのは危ない(笑)
湿気の他、単純に衝撃に弱いという点も注意です。まあプラスチックだってそんなに頑丈なものではありませんけど、これはやっぱり紙なんでちょっと強い衝撃を与えると曲がったり凹んだりしてしまいます。
これは壁のパーツの裏側。開封した時点で既に角が凹んでしまっていました。これは裏側なので問題ありませんでしたけど、やっぱり紙なんですよね。
大きさから、ホビーベースのモデルカバー(スクエア 中)にちょうど入るので、破損防止のために私はこれに入れて保管しています。
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教壇が欲しい
この教室って教室の前の方だけの模型なんですよね。となると黒板の前には教師が立つ教壇があって然りなんですが、椅子や机のプラモなどはあっても教壇の模型って無いですよね。
総評
紙ゆえに欠点はあります。が、それでも私はこの製品をオススメしたい。
やっぱりディオラマがあると可動フィギュアが生き生きとしてきます。床の質感だけは難アリだと思うのですが、床は平らなものだけに自作はそんなに難しくないので、許容範囲だと私は思います。
そう、自作。
何よりも教室のディオラマを自作するよりも遙かに簡単ですし「もっと大きい教室のディオラマが作りたい」「あのアニメに出てくる教室を忠実に再現したい」という場合に寸法を採るために使えるというのが非常に大きいです。今現在学生でいらっしゃる方なら教室を採寸できるかもしれませんが、学生時代なんてとうの昔(笑)の人間には、寸法なんてさっぱり。黒板の高さなんて分かりませんよ。
このキットの寸法が必ずしも正しいかは分かりませんし、アニメや漫画の作品ごとに教室の形状も様々。でもおおよその感覚を掴む事が出来るというのは非常に便利だと思います。
完成品しか購入されない方にはちょっとオススメしにくいきらいはあるのですが、でも学校を舞台にしたアニメのキャラクターのfigmaを多く所有されている方にはぜひ手に取ってみて欲しいと思います。ブンドドが捗ります(笑)
以上、コバアニの1/12新教室のレビューでした。
※組み立ての注意点
説明書の記載が不親切なので、自分で組み立てて気がついた点を書きますので、参考にしてもらえればと思います。
木のパーツは壁の端に合わせてはダメ
壁の組み立てについて、木のパーツは壁の外側の端(黒板のある壁なら左端、扉のある壁なら右端)合わせて接着するように指示されていますが、これは従ってはダメ。
壁の横の長さの寸法と、木のパーツの長さがきちんと合っていないのです。
パーツ②を左端に合わせて接着したら、パーツ③との間に隙間が出来ました。
これを踏まえて、ドアレールはパーツ③にピッタリ合わせて接着したところ・・
壁の端とピッタリ合いません。
結局は、パーツ③との間に隙間が出来るか、壁の端に隙間が出来るかなんですが、後者の方が見た目が良いと私は思います。
木のパーツの位置を示す線はあまり当てにならないかも
壁パーツは端の部分だけ木のパーツの取り付け位置に線が引いてありますが、これはあまり当てにならないと思います。
パーツ②を線を当てにして接着したところ、黒板の上辺と微妙に平行になりませんでした。
この線は片側だけおおよその目安として使い、平行になっているかどうかは目視で確認しながら組んだ方が良さそうです。
この順番で組むと良さそう
説明書ではスイッチの組み立て、ドアの組み立て、黒板の組み立て、ドアレールの組み立てが最初に記されているものの、壁の組み立てについては具体的な順番が記されていません。
前述の注意点を踏まえると、以下の順番で組み立てるのが良さそうです。
1:スイッチの組み立て、ドアの組み立て、黒板の組み立て、ドアレールの組み立て
これは説明書どおり
↓
2:黒板を壁に取り付ける
黒板はダボで壁に取り付ける構造。
黒板は位置のずれようがないので、まずこれを取り付けてやり、他のパーツは黒板を基準に平行や垂直を確かめながら組むのが良いのではないかと思います。
(本来壁パーツの裏側は黒い紙を貼る仕様となっていますが、私は貼らずに組んでいます。)
↓
3:壁を台座に挿してやり、壁同士を接着
木のパーツに余計な隙間を作らないために、まずはパーツ③を組み立てるべきだと思うのですが、先に③を接着してから壁同士を組み立てると、③と壁の間に隙間が出来たり、逆に③が外側過ぎて壁が組み立てられないという事態が起こるかもしれません。なので先に壁同士を組む方がベターかと。
壁を組む際は床パーツを仮置きして位置を合わせ、隙間が出来ないようにしましょう。
↓
4:パーツ③を接着
下の端が黒板の下辺と平行になるように確認しながら接着。
↓
5:パーツ④を接着
↓
6:ドアレールを接着
ドアを仮置きしてドアレールを接着。
上下位置は、ドアの可動がきつくなりすぎないように調整。レール左端をパーツ③にピッタリ合わせて、ドアとレールガ平行になっているかを目視で確認しながら接着。
↓
7:パーツ②を接着
このパーツ、公式の写真だと存在していません(笑)私は建築の専門家ではないので分かりませんが、ドアレールと上辺の高さを合わせるのが良いのではないかと思います。右端をパーツ③にあわせて接着。
↓
8:パーツ①、パーツ⑤を接着
先にどちらかを接着し、それに高さをあわせてもう片方を接着。
ドアレールやパーツ②と平行になっているかを目視で確認しながら接着。
あくまで組み立てて終わってから「こうすれば良かったかな」という順番なので、実際にやって問題なくスムーズに組めるという保証はできませんが、参考にしてもらえればと思います。
※床を自作してみました
有言実行という事で、床をツヤツヤの緑の床にしてみました。
キットの床パーツを型紙にして作ってみました。緑は塗装ではなく「LKカラー」という固い光沢紙を使っています。塗装するよりもこっちの方が簡単かな、と思いつきでやってみました。
ダイソーで片面が粘着面になっていて表面にものを貼れるスチレンボードを見かけたのでこれを使ってみたのですが、厚みが5mmもあったので床がちょっと高くなってしまいました(笑)後でもっと薄いので作り直そう。
青の色味の無いただの緑ですが、なかなか音ノ木坂っぽくなったかな、と。
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