遅くなってしまいましたが2018年公開の映画「ザ・プレデター」から商品化となったNECAの7インチアクションフィギュア、フジティブ・プレデターをレビュー。映画劇中では「1号」と呼ばれていましたね。
最初から付属品豊富でボックスパッケージの「アルティメット」枠での商品化。
- 商品名:フジティブ・プレデター アルティメット 7インチ アクションフィギュア
- メーカー:NECA(ネカ)
- キャラクター原作:映画「ザ・プレデター」
国外では8月の下旬くらいに既に発売になり、平行輸入しているショップでは映画の公開日くらいに日本でも出回り始めたものの、肝心の豆魚雷の国内流通版はそれよりも遅れて9月の末近くにようやく発売になりました。
ネカ 2018年映画 プレデター アルティメットシリーズ フジティブ プレデター 21cm アクションフィギュア 新品価格 |
内容
本体、マスク無し頭部、ガントレット無しの両腕、リストブレード2対、となっています。
今回は最初から「アルティメット」枠での商品化なので、付属品がNECAのフィギュアとしては豊富。
本体
NECAのプレデターと言えば毎回仕上げ方が違う肌。
今回のフジティブは、背面の肌の色であるオレンジ色が成型色でそれ以外が塗装という仕様になっています。
映画と結構違う!!
詳細は後述の各部位についての画像を見て頂くとして、このフィギュアは映画のそれとは結構差異があります。
まずアーマーやマスクがピカピカのツヤツヤではないこと。PVC製の量産品であそこまでのツヤツヤにするのは無理だろうとは思いますが、マスクに至ってはこのフィギュアは完全なツヤ消し。量産品では表面処理や塗装の工程がどうのという以前に、そもそも塗装がツヤ消しなんです。
あと両腕のガントレット。
リストブレードは差し替え式で、展開・収納両方に出来るといえば出来るのですが、ブレードを差し込むための穴が空きっぱなし。映画のパンフレットに載っている画像を見るに、劇中ではブレード収納時には穴は空いていないようです。つまり収納状態はきちんと再現出来ない。
そして劇中では左腕でリストブレードって使っていませんよね。そもそも左腕にもガントレットを付けていたのは映画の冒頭の宇宙船の中にいる時だけで、あとは左はガントレットを付けていませんでした。そして左もリストブレードという仕様のせいか、左ガントレットに「操縦デバイス」が付いていない。
ガントレット無しの両腕パーツが付属してはいますが、劇中で研究所で目を覚ました後にアーマーを着た時点で右腕はガントレットをしているので、胴体のアーマーを付けているのに右腕にはガントレット無しという場面は無い。
そういった点を考えると、「左腕はガントレット無しだけ・右のガントレットはリストブレード展開有り無しの2種付属」というのがあるべき姿だったのでは。
しかしこれについては一概にNECAが悪いとは思いません。映画公開と同時期にフィギュア発売となると、映画完成前の時点で資料を提供されて製品の開発にかかっていただろうと思います。映画製作中にデザインに多少の変更があったり、撮影したけど使われないシーンがあったりもするだろうと思うので、このタイミングで商品を発売しようと思ったら仕方の無い事かと。
むしろ久しぶりのプレデターの映画新作、その公開タイミングでアクションフィギュアを出してくれたのは嬉しい。しかも最初から「アルティメット」枠でマスク無しの頭部、手首も拳と平手両方ありますし。
他のプレデターと並べて
アルティメット・ジャングルハンター、アルティメット・シティハンター、AVPのスカープレデターと並べて。
身長はAVP素体よりは低く、ジャングルハンターやシティハンターよりは背が高い。
フジティブの素体は全パーツとも新規パーツの素体のようです。
各部
頭部
先ほども書いた通り、マスクは映画劇中と違ってツヤ消し。色は少しメタリックな暗いグレーで、各部位がツヤ消しブラックやゴールド、シルバーで塗り分けられています。目の部分はツヤツヤのブラック。
映画劇中と違ってツヤ消しですが、目のツヤツヤとの質感の差が良い感じ。
マスクの造形も、映画のそれにかなり似ていると思います。
ツリ目であごが細くなっていて、何か狐を連想するような顔。
でも横から見るとジャングルハンターのマスクに結構近いシルエット。
ドレッドヘアは過去のプレデターと違い、断面がひし形に近い形状で、表面にギザギザがついています。色は毛先の方が白くグラデーション。これまでのNECAのプレデターと同じく軟質樹脂製で可動の妨げにはなりにくいです。
マスク無し頭部。
映画劇中の顔にとても良く似ていると思います。
口元のアップ。
口の中は肌の色の上から薄めたピンクを重ねて塗装しているようで透明感があり、生の部分という質感がとても良く出ています。
造形も素晴らしく、頬の部分の薄い肉がピンと張っている感じがとても良く出来てますね。
胴体
鎖帷子(チェーンメイル)のようで、過去作のプレデターとは大きく印象の違うデザインのアーマー。
左胸の辺りは表面がボコボコで、ダメージを受けた状態が造形されています。
NECAの公式画像では背面が映っておらず、映画劇中でも背面はよく見えない(笑)のですが、こんなデザインになっています。
腰のすぐ上の真ん中にある部分は、デザインからすると腰の鎖帷子と繋がっているという構造のように思えます・・・・あれ、研究所にとらわれていた時は腰の鎧は付いていたから繋がっているわけではないのか・・・・まあいずれにしてもこのフィギュアではこの部分はAVPのプレデターのこの部分と違って腰と繋がっていません。材質は軟質樹脂。
なので、腰で大きく捻った可動が問題なく行えます。
AVPのプレデターもここは材質は軟質ではあったものの、腰と繋がっているせいで可動が妨げられていましたのでこの方がベター。
アーマーの中に胴体が入っている!
このフジティブ・プレデターは腹よりも上が完全にアーマーに覆われているデザインなので、普通に考えれば胴体の胸パーツ=アーマーの形状をしたパーツになりそうなもの。
しかしこのフィギュア、実はアーマーの中に胴体のパーツが入っているのです。
この部分は本来見えないはずの部分だけに塗装されておらずオレンジの成型色のまま。
何でわざわざこんな事を?
今後の商品展開として研究所に捕らえられていたフジティブを出すとか、あるいはこの素体を他のプレデター、コミックとかケナーの変なヤツとか出す時に使えるようにというのを見据えているのでしょう。
でも実は一番の理由は、アーマーを軟質素材にしたかったからじゃないかと思っています。この胴体のアーマーは全部軟質なんです。
このおかげで鎖帷子のフチが厚くなっていない。
そして左右の側面も、前面や背面と同じ彫りの深さ・シャープさできちんとディテールが入っています。これは金型から無理やり外せる軟質樹脂じゃないと厳しいのではないかと。
わざわざ中に胴体が入っている事の意味はともかく、この胴体のアーマーを軟質にしたのは素晴らしい仕事ぶり。
肩アーマーも軟質樹脂製です。
左肩はダメージが入っている造形。左胸から肩にかけて何か当たったという事なんでしょう。ひょっとして映画冒頭のクインと遭遇時のあの被弾?
右肩はダメージがなくてツルツル。プラズマキャノンはここに付いています。
キャノンのアームは可動して前後に動く他、アームとキャノンの接続はボールジョイントで可動。
アームと肩アーマーとの接続部は固定で可動しません。
腕
肘から下はガントレットの有無を差し替え可能な仕様となっています。
他のNECAのプレデターと違い上腕に回転可動がなく、肘関節と上腕の間で回転可動出来るという仕様になっています。
冒頭でも書きましたが、ガントレットはリストブレードを取り付けるための穴が空いたまま。劇中どおりの収納状態には出来ません。
肘は2重関節で深く曲がります。曲げる限界はこのくらい。
ガントレット無しの方が気持ち少し深く曲がります。
胴体の項で触れた通り、胴体のアーマーは肩パットも含めて軟質樹脂製。このため強引に押し曲げてしまう事が出来るので、このように腕を前に上げても邪魔になりません。
肘と上腕の間での回転可動。画像のように大きく回転させると不自然。やはり腕の回転可動は肘ではなく上腕で行う構造の方がベターだと思います。
腕を横に広げる可動はここまでが限界。最初に動かした際はあまり上がらないと思ったのですが、クリックがあって一旦そこで止まるようで、実はここまで上がります。
とは言えこの肩関節、腕を真後ろに向けて上面を正面に向けてみると切り欠きが全然無い。どうせアーマーで肩の上面なんて見えないのですから、もっと切り欠きを大きくして可動範囲を広げれば良いのに、と思うのは素人考えでしょうか。
これまでのNECAのプレデターと違って手首の接続がボールジョイントではなくヒンジ可動あり。これによって手首の表情もいろいろとポージング出来ますね。
もちろんこれはガントレット付き腕の握り拳と互いに交換して使う事が可能。
平手の方もヒンジ可動があります。
ガントレット無しの腕の方が可動の妨げになる部分が無い分、手首を深く曲げられます。
下半身
下半身もデザイン・カラー共に過去の映画のプレデターと比べて異彩を放つアーマー。
すねは上半身のような鎖帷子の上に小さなアーマーを付けているというデザイン。
太もものアーマーはAVPのように腰に付いているのではなく、太ももに付いています。と言ってもジャングルハンターやシティハンターのように接着されているわけではなく、ベルトに太ももを通しているだけ。下に引っ張れば外してしまう事も可能です。
アーマー下にずらした太もものアップ。やっぱりネットの塗装はところどころきちんと塗られていない部分があります。ただAVP同様にネットが太いせいか、そもそも塗装がずれているという部分は無いですね。個体差もあるかもしれませんが。
腰のパンツ状の部分は軟質樹脂製。腰には劇中でも印象的だったAVPと同じ手裏剣が付いていますが、このフィギュアには展開状態の手裏剣は付属しません。AVPのプレデターから拝借すれば良いのですが、手首が平手と握り拳なので持てない。
NECA公式でも載っていないし、映画劇中でもよく分からなかった腰の背面。ここには角ばった形状のアーマーがぶら下がっています。
ここも軟質樹脂製。
アーマーは腰に付いておらず、腰周りもジャングルハンターのボロきれのように上下に長くてタイトではないのでここまで左右に開脚が可能。、
パンツ状の部分は、前面と後面が下で繋がってはいません。つまり完全にパンツ状ではないのです。
このため、前面は強引に少し押し曲げる事が出来るので足を前に出す時の可動を確保出来ています。
足首はいつものボールジョイント。足首のすぐ上のアーマー部分が軟質樹脂製なので、ここを曲げてちょっと強引に足首の接地が出来ます。
接地した状態で左右に足を開くのはこのくらいが限界。もう少し足首が内側に曲がって接地出来ると良かったのですが。
総評
上腕で回転可動が無く、肘で回転となっているのが残念。大きく回転させると見た目がおかしくなりますし、そもそも今までと違ってこんな構造にする意味が分からない。相変わらず首の根元に可動を入れてくれないのも勿体ないポイントですね。
しかしそれでも腕や首の可動は及第点だとは思いますし、他の可動範囲・造形はいつも通りのデキです。
デザインのおかげ・軟質樹脂のおかげで腰や股関節は大きく動かせます。
そして久しぶりのプレデターの映画新作公開というタイミングでフィギュアを発売してくれたのは本当に嬉しい。そのためか映画とちょっと違って左にもリストブレードがあったりしますけど、「右腕リストブレード展開・左腕はガントレット無し」だけで考えればたぶん劇中通りだし、他はオマケパーツだと思えば。
それらも含めて、手首が握り拳・平手の2種に頭部がマスク有り・無しの2種付属の「アルティメット」で出してくれたのも素晴らしい。もう常にそうしてくれ(笑)
とりあえずこれはこれとして、あとは研究所での上半身裸の状態も商品化してくれると嬉しいな。
映画終盤が撮り直しになった事で劇中未登場になった「エミッサリー・プレデター」が出るくらいだから、出してくれそうな気はしてますが。
※追記
「ラボ・エスケープ」という商品名で上半身裸のフジティブも後に発売になっています。
以上、NECAのフジティブ・プレデターのレビューでした。
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